専門家インタビュー 中村千秋先生<6>
【保護者の役割について】
Q:子どものスポーツ参加における親の重要な役割は何だと思われますか?
A: 年齢にもよると思いますが、若年であればあるほど競技性を強く求めない方が良いかと思います。
スポーツはその子の人生の全てではなくほんの一部分であり、その子の人生を豊かにしてくれる様々な資源の一つであると認識すべきだと思います。
Q:スポーツ障害を起こさないため、そして起こりにくい身体作りなどはできますか?小さいうちから行っていたら良いことや習慣などがあれば教えてください。
A:最近では「身体の使い方・・・」なんて言葉がよく使われますが、身体の使い方が下手であるが故にケガを負うことも多いように思います。
特に最近の子供は、よく言われますが、倒れ方、転び方、手の付き方を知らない。
そのような子供はよくケガをするようなイメージを持っています。危険回避行動がとれないのですね。
もっと言えば、そもそも危険を察知・予知する能力が発達していない、ような。
ですから、子供の頃はなるべく多岐にわたるスポーツや身体活動に参加させて、様々な場面に遭遇させ、危険回避のパターン学習をさせるのが良いと思います。
【心のケアについて】
Q:スポーツを通じて、子どもたちは様々な経験をして成長すると思うのですが、ケガをしたりなかなかチームで活躍できない子供に対して、どのような言葉をかけたらよいのか迷っている保護者の方もおられるようです。
悩みを抱えた選手に対して、中村先生が心がけている対応方法などがあれば教えてください。
A: 先ほども少し触れましたが、スポーツは子どもの人生において、「ほんの一部である」ということを理解しているかどうか、だと思うのです。
それが全ての世界、それしかない、となってしまっては、もしその世界で活躍できなくなってしまった場合、苦しんでしまう子もいると思います。
そして、親の期待が大きすぎると、その期待に応えられない自分に対して、自己肯定感=セルフエスティームを持てなくなってしまいます。
活躍できる、できないにかかわらず、子どもたちがそのチームの仲間と楽しんだり、良い時間を過ごしているのなら、それでいいのだ、と保護者の方が思えるかどうか、価値観ですね。
Q:スキルや知識を教えることはできても、選手や生徒とのコミュニケーションに悩んでいるコーチや指導者も多くいるようです。そんな方々にアドバイスがあればお願いします。
A:「コーチや指導者としての責務や限界」を認識しながらも「コーチや指導者のような典型的な態度や言葉遣い」を普段(日常生活や指導の場面)はしないことかと思います。
そのことで、いざ!というときにとる「コーチや指導者のような典型的な態度や言葉遣い」が生きてくるのではないでしょうか。
コーチ自ら出て行くとそれは「陽極」であり、せっかく選手の方からコーチに入っていこうとする「陽極」とぶつかり合い、永遠にコネクトできません。
選手が「陰極」だと練習やゲームにならないので、コーチ自らは「陰極(陰圧と表現しても良いかも)」である方がいいのではと感じます。そうすれば「陽極」の選手は勝手に「陰極(陰圧)」のコーチの中に入ってきます。
で、どうしてもぶつからなくてはいけないときだけ「陽極ムード」を出します。
Q:「陽極」と「陰極」についてご説明頂けますか?
A:つまり、「陽極」というのは、アウトプット、あるいは外向きのエネルギーということですね。コーチが何か「教えてやろう」とか「指導してやろう」とアウトプットし続けてしまうと、受け手(選手)はもう反応しなくなる、ということです。
そして選手自ら何かを発信しようにも、指導者の「陽極」が強すぎると発信する気もなくなってしまうと思うのです。
子どもたちは子ども達で、色々考えているんですよ。
我々大人から見ると、何も考えていないように思ってしまうけれど(笑)、彼らなりにすごく考えている。
ですから、大人、指導者はあくまで「陰極」で、一歩下がって構えるくらいで、彼らが求めてきやすいように、そしてまずは選手自身が考える機会をつぶさないように接してあげるべきだと思います。
最後にベストスポーツペアレンツを目指して!宣言をお願いします。
