山同氏インタビュー①
<スポーツとの関わりについて>
Q:山同さんは、社会人になってアメフトのトッププレーヤーとしてご活躍されていましたが、小学生の頃や中学生、高校生時代でのスポーツとの関わりについて教えてください。
A:幼稚園の頃から王・長嶋に憧れ、巨人入団を目指す野球少年でした。でも、悲しいかな、ピークは小学生時。中学では既に自分の野球での「立ち位置」(レベルの低さ)に気が付いてしまいました(苦笑)。
中学ではマイケル・ジョーダンの影響でバスケットボールに転身しました。しかし、子供の頃から大好きな野球から3年間離れたことで、逆に野球熱が再燃し、高校で再び野球に戻りました。いずれも超~が付く弱体校でしたが・・・・・(笑)
Q:アメフトを始められたきっかけ、とうようなものはありますか?
A:(3つ上の)兄の影響ですね。兄は高校で主将で日本一を経験。その後大学でも主将で、(当時は)恰好良かった。今はただの中年肥りですが・・・・。
Q:トップ選手で活躍し続けるために一番大切なことはなんでしょう?
A:現状に満足することなく、常に「これで良いのか?」と自分自身に問い続けることではないでしょうか?
Q:大きなケガの経験などもあるのでしょうか?
A:幸いなことにありませんでした。でも身体が痛くない日は一日もありませんでした。
Q:現役時代で大変だった出来事、や一番の思い出を教えてください。
A:アメフトは大学から始めたので、なかなか上手くプレイが出来ず、全てが辛かったですね。ただ、大学4年になるころにはそれなりにやれるようになり、二部リーグ所属でしたが、最終学年は心身共に充実していました。
社会人では最初の半年間は、仕事しながらプレイする環境に慣れず、またレベルの高さに対応出来ずに苦悩の連続でしたね。
一番の思い出はデビュー戦です。
しかも当時無敵だったチームに私のタッチダウンで初めて勝ち、初優勝したんです。相手はテレビで観ていた凄い人達ばかりでビビりましたが、自分の持ち味を発揮し、チームの勝利の貢献出来た充実感は今でも忘れられません。
<お子さんとの関わり>
Q:山同さんには高校生と中学生の男の子のお子さんがいらっしゃるそうですが、お二人とも何のスポーツをされているのですか?
A:同じ楕円形スポーツですが、幼稚園時代からずっとラグビーを続けています。チームプレイを学ばせたかったので。あとは精神面を鍛えさせる意味で空手も8年間やらせました。
Q:とても運動神経の良いお子さんのようですが、小さい頃から心がけていたことなどあるのでしょうか?
A:長男には尋常なくスパルタでしたね。ちょっと古い言い方ですが、星一徹みたいに・・・・(笑)。
でも、小4になったくらいの頃に、私もコーチングの勉強をして、それではいけないと気が付いたのです。
それからは「自主性」を重んじるようにしました。
スポーツでも勉強でも親が口煩く言っても、本人がその気にならなければ意味がありませんからね。自ら進んでやるようになると、変われるんです。
そして総てが変わりました。今では長男とはアスリートとして、同じ選手目線での会話が出来ます。
Q:何か参考になったものがあれば教えてください。
A:「スラムダンク勝利学」の著者である辻先生の本は非常に参考になりました。
そして、息子達がお世話になっているラグビーチームのコーチ達の指導法から、本当に多くを学ばせてもらいました。
Q:具体的にはどのようなことでしょう?
A:子ども達が前向きな気持ちでプレーできる声掛け、という指導法が徹底されていました。指導者の方々の経験だけで教えるのではなく、非常にロジカルで、計画性のある指導法そして、自らもとても勉強している方たちで尊敬します。
そして保護者に対しても、子ども達が伸び伸びプレーできるよう、試合中の過度な応援は禁止されていました。
Q:審判へのクレームや、子ども達への野次などは?
A:絶対ダメです!
加えて、情報共有が徹底されています。練習メニュー内容から、その練習の意図なども細かく保護者に伝えられ、安心して子供を預けられる環境だと、感謝しています。
Q:ご自身もトップレベルで活躍していたスポーツ選手、ということで、色々アドバイスされたりしますか?もしくは全くしませんか?
A:アドバイスしたくてウズウズしているのですが、訊かれた時だけ応えるにするようにしています。
逆に訊かないで放ったらかしにしていると、色々訊いてくるようになりました。
でも、そこでも「オーバーコーチング」にならないように心掛けています。今の指導者は全てを自己完結してしまうような教え方をする傾向にあります。
私もそうでした。
でも、それでは自分で考えなくなり、人任せにしてしまう気がしますね。間違えた方向に行こうとするときだけアドバイスします。
でも、間違えるのも勉強なのです。ここは指導者も親も忍耐力が必要なところではないでしょうか。
Q:自身がスポーツ経験者だと、わが子や、ときに指導者にも厳しいお父さんになりがち、というイメージがあるのですが、山同さんはいかがですか?
A:なりますね(笑)ダメですね・・・。日々反省です。
父親も日々勉強です。
ただ、挨拶をすることだとか、指導者や仲間や親に感謝すること、相手をリスペクトすること、そういうスポーツ選手である前に、人としての道から外れた場合は容赦しません。
Q:わが子がスランプに陥ったり、レギュラーから外れたりすると、親としてはどのような声をかけてあげたらいいのか悩みます。
A:それも良い経験だ、と、まずは親が一度飲みこむことも大切ですね。アタフタしないことです。
失敗したり、悔しい思いをしながら子供は成長していくのだと思います。と言っても、本心ではドキドキしているのですが・・・。
Q:コンタクトスポーツだと心配事は尽きないでしょうか?
A:毎日心配です。今、この瞬間も・・・・。
治る怪我は仕方ありません。しかし、首や頭の怪我だけは本当に怖いですからね。ただ、こういうスポーツをやらせている以上、何があっても責任は取る覚悟でいます。
Q:お子さんが小さい頃からしていたことや、習慣などで、これは大きくなってからも役に立っているな、というようなことはありますか?
A:日々コツコツやることですかね。私自身はだらしなく、テストも一夜漬けだったのですが・・・・(苦笑)。
幸い子供たちは嫁さんに似て、コツコツ派ですね。私も見習うべきところです。
(1)>2