谷医師インタビュー(脳震とうについて)①
Q:一般の人が「脳震とう」について参考にすべきもの、もしくは情報を教えてください。
A:我々、臨床スポーツ医学会の脳神経外科部会が出しているこちらを参考にしていただければと思います。
これは一般の人も自由にダウンロードできます。
Q:「脳震とう」は何が怖いですか?
A:頭に強い衝撃を受け、外傷を受けると頭の中で出血していることもある、ということ、ですね。これは「急性硬膜下血腫」というのですが、これは致死率が約40%くらいあるんです。これが怖いですね。
ですから、それが起きているか起きていないか、をすぐに知らなければいけないわけです。
しかし、じゃあ私がサッカーグランドにいて急性硬膜下血腫が起きているかどうかその場で診れるか?というと、それはできないんです。だから、少しでもその可能性があるならすぐに病院、脳神経外科があるところまで行って調べましょう、ということなんです。
では、君は病院は行きましょう、君は様子を見てみよう、という線引きはどこなのか?脳震とうの症状で言うと、意識を失う、健忘(物忘れ)、頭痛、吐き気、めまいが強くなってくる、これらの症状が1つでもあれば、すぐに病院です。
その症状チェックはグランドサイドで行えるのですが、気をつけなければいけないのは、「倒れたところから歩かせない」ということ、です。
出来れば担架で運んだり、もしくは担いだりして、歩かせるとふらついて倒れてしまう危険性があるので注意してください。
先ほど申し上げた症状がないのであれば、とりあえず様子を見ましょう、1時間くらい、5分おきくらいに症状の変化を注意深くみてください。
そこで、ご紹介した「スポーツ現場における脳震とうの評価」に記載されているようなさらなる症状のチェックなどをするとよいでしょう。
← こちらがその「スポーツ現場における脳震とうの評価」 の2ページ目にある表。
ダウンロードも可能なので、印刷し、スポーツ現場や学校(保健室、体育館、柔道場、部室)などに貼っておきましょう!
また、チームの救急箱に入れたり、写メで撮影し、携帯に保存しておくのも良いでしょう。
(臨床スポーツ医学会 HP スポーツ現場における脳震とうの評価より)
Q:この表にある症状がたとえ軽くても1つでもあれば、「脳震とう」を疑うべきである、ということでしょうか?
A:そうです。たとえ軽くても、過剰に対応しすぎる、ということはないですね。ただ、脳震とうでも頭部内に出血がなければ、徐々に症状は回復していきます。
しかし、症状が改善しない、頭痛やめまい、気持ち悪さなどが1時間くらいしても改善していかないのであれば病院です。
そして一見大丈夫そうでも、頭の中の出血、というのは後からゆっくり起こることもあるので、最低24時間は注意をしておいた方が良いです。
じゃあどんなことに気をつければよいか、というと、お子さんでしたら保護者の方と一緒に住んでいるので、スポーツペアレンツの皆さんがお子さんの症状の変化を注意深くみてあげる、ということ、夜中などに症状が悪化してくればすぐに病院につれていく、ということですね。
一人暮らしの子でしたらその日は必ず誰かといるようにします。
Q:帰宅までの道のりも一人にさせない、とした方が良いですか?
A:そうですね、プロボクサーなんかでも、数時間後に出血した、というケースもありますから、誰かと一緒に帰宅させた方が安心ですね。
Q:病院はどこに行くのが良いでしょう?
A:まずは脳神経外科医がいる病院、でしょう。脳内で出血などが起きれば、手術ということになりますから・・・。
「日本脳神経外科学会」のHPでも専門医リストがありますので、参考にしてほしいです。
できれば、脳神経外科医が常勤している病院がいいでしょう。また、子ども達が活動している場所の近くにある病院を2つくらい調べておく、というのも良いでしょう。
でも、緊急時であれば、ためらわずに救急車を呼んでください。
Q:救急車を呼ぶ際に必ず伝えたほうが良いことなどはありますか?
A:まずは、頭を打って、脳震とうを起こしたようだ、ということ。そして、症状ですね、頭痛がある、とかめまいとか、があるから、すぐに来てほしいことを伝えます。
そうすれば救急隊は症状に応じて病院を探してくれます。
救急車が来るまで時間がもったいない、と近くの病院に駆け込みたくなるかもしれませんが、もしかけ込んでも、担当医師が手術中であったり、在勤していないこともありますから、緊急時にはまよわず119番です。
また、スポーツドクターと呼ばれる医師がいる病院も1つの選択肢でしょう。スポーツドクターは約95%が整形外科の医師なのですが、スポーツドクターの整形外科医は頭部外傷は怖い、という意識が非常に高いので、かなりしっかり診てくれると思います。
Q:脳震とうからのスポーツ復帰、についてはいかがでしょう?症状が軽くても全ての競技でGRTP(Graduated Return To Play)のようなプロトコールにそって復帰すべきなのでしょうか?
A:まずはお休み、です。心と体を休ませます。
Q:どれくらい休ませれば良いですか?
A:それは、脳震とうの症状が完全に消失するまで、です。
Q:プロトコール内では、TVやゲームはもちろんですが、読書なども禁止、とあります。学校も休ませた方が良いですか?
A:全てを禁止、という事は難しいかと思いますが、できるだけ「静かに」しましょう。刺激は少ないに越したことはありません。学校などは行っても構いませんが、体育などはお休みしたほうがよいでしょう。
Q:段階的な復帰、というのは年齢問わずフォローしたほうが良いでしょうか?
A:子供は大人よりもより慎重に扱った方が良いです。段階的な復帰プランに関しては、ラグビー協会のものもありますし、日本サッカー協会のこちらのページ(メディカル通信)には私が紹介したものも掲載されているので、参考にしてみてください。
谷先生が書かれた記事内には、左の様に脳震とうの症状や推奨される復帰のガイドラインが紹介されています。
(JFA HP メディカルインフォメーションページより)