鳥居俊医師インタビュー2

2015年12月26日 00:00
 

<スポーツとケガ>

Q:子供たちのスポーツ参加において、ケガ予防という観点から年代別に注意すべきこと、もしくは成長する子供がスポーツ参加をする際に注意すべき点はありますか?

A:そもそもケガが多くなる年代、というのがあるのです。力が強くなったけれども、体が完成していない時期がケガが多くなります。小学生時期、というのはアクシデントの様なケガが多いですが、ある程度力が強くなってくる小学校高学年以降、体はまだ成長段階で骨格も大人と一緒ではない、という時期が一番成長期特有のケガが多く起きやすいのです。ですから、そういう時期に”やりすぎない”ということが大切です。高校生以降になると、大人と同じような骨格になりますから、大人と同じスポーツ障害の対応方法でよいでしょう。

日本のスポーツは、学年別、年齢別、ですから成長が早い子と遅い子が同じ学年で一緒にプレーすることになります。成長の早い子は骨格は大人に近いわけですから激しい練習をしてもケガをしにくいですが、成長が遅い子は骨格が未熟なためケガをしやすい、となってしまいます。年代別、というよりは成長別、その子の成長具合にあったスポーツ参加の方法を見極める、ということが重要だと思います。

一番バラエティに富んだ年代、というのは中学生だと思います。体格の大きな子もいれば、小さい子もいる。女子は少し早くて、小5~6年生くらい。学年ではなく、その子の成長にあったスポーツ参加、そしてスポーツ指導、ということができてくれば、さらにいいと思いますね。

 

Q:ケガを良くする子、としない子、の違いは何かありますか?そもそも強い子はいるのでしょうか?

A:大学生でも、ケガを繰り返す子もいますし、ケガをあまりしない子、というのが実際います。何が違うのか?無理なプレーをする子、無謀なプレーをしてしまう子はケガが多いと感じます。自分の限界を超えるようなプレーをする子はケガを頻繁に起こします。また、技術が未熟な子もケガをしやすいですね。それから、もともと関節が緩かったり、不安定であるというようなケガのリスクとなるものを抱えた子はケガをしやすい、といえるでしょう。

そもそも強い子、というよりは、ケガをしにくい子、というのは自分の体に対しての見極めに優れているのかもしれません。これ以上やったら危ないな、というのが分かる子はケガをしにくいのではないでしょうか。

 

Q:精神面ではどうですか?精神的に強い子、にするにはどうしたらいいでしょう?

A:心も体と同じように、成長の早い子、遅い子、というのがあるのだと思います。精神的に成熟している子と未成熟な子がいるのは実は当たり前のことで、人間は色々な経験を積むことで精神が強くなっていったり、物事に対処する能力がついていくわけですから、心の成長も早い、遅いがあるんだ、という認識を周りの大人たちが知っていればよいのではないでしょうか?

 

Q:受傷から復帰までの間で、大切なことはなんでしょう?

A:復帰まではきちんと段階を踏んでいく、ということですね。時間が来たら治った、痛みがなくなったから治った、というわけではありません。ケガをして休んでいる間に体力は落ちるわけですから、そこを徐々に上げていかなければいけません。

 

Q:復帰にあたって段階的にやるべきことがあるにもかかわらず、多くの保護者はそのことについて知りません。ドクターに「やっていいよ」と言われてしまえば、その後、子供をこれまで通りスポーツ復帰させて良いものだと思い、やらせてしまうと思うのですが・・・。

A:そこは、スポーツドクターにも責任があります。ケガが治った=スポーツに復帰してよい、ということではなく、スポーツをするスタートラインにたっただけなのだ、ということを伝えなければいけません。フルに復帰するまでにはやるべきことはまだ多くあるわけです。

 

Q:フルに復帰するまでに誰がどのように、どこでサポートしてくれるのか?という情報が不足しているように思うのですが・・・。

A:その通りですね。病院が終わってから、競技に復帰するまでの期間はメディカルリハビリテーションではなくアスレティックリハビリテーションになるわけですから保険適用外、でもあります。ですから病院での指導を受けるのは難しく、多くはスポーツ現場で行わなければいけません。しかし現場に戻ってもトレーナーも不在で、指導者にその知識がなければ、段階的にやっていく、というのは難しいでしょう。

 

Q:ということは、やはりスポーツ障害に詳しい理学療法士やトレーナーがいる施設を探す、ということが必要になってきますね。

A:それもありますし、復帰までのトレーニングプランをまずはドクターに組んでもらえるようにお願いしてみるといいと思います。スポーツにおけるケガからの復帰に関しては、頻繁に起こるケガであればある程度標準的なプランがありますから、その情報をドクターからもらえるといいですね。

 

Q:簡単な用紙1枚もらえるだけでも親としても、そして選手や子供本人も非常に助かると思います。

A:整形外科医、といっても色々なので、ぜひスポーツ外傷や障害に詳しい、そして復帰までのプランについてもアドバイスしてくれるスポーツドクターに診てもらうことをおすすめします。

 

Q:特にケガをしたわけでもないのに、子どもが体のある部分を痛がり、病院に行きレントゲンなどを撮っても異常がなく、「成長痛ですね」と言われた、という話をよく聞きます。そもそも成長痛は存在するものでしょうか?保護者としてどう対応したらよいでしょうか?       

A:一般的に成長期、というのは骨の成長に伴って筋肉や腱などの柔らかい組織の張力があがってきつくなり、動きも固くなります。そういう時期に体に痛みがあったり突っ張ったり、ということはありますから、画像上何も問題がなくても、それらを痛み、ととらえるならば成長痛というのはないわけではない、と言えると思います。

しかし、その子供の体の「痛み」という訴えが、実は心の痛みからくることもあります。子供が不安を強く感じていたり、プレッシャーを感じている場合、それが体の痛みとして訴えることもあるのだ、ということも知っておくとよいでしょう。

 

<保護者の役割>

Q:子どものスポーツ参加における親の重要な役割とは何だと思われますか?

A:支える、ということだと思います。食事などもそうだと思いますが、スケジュール調整なども大切な役割だと思います。あまりにも無理なスケジュールになっていないか、などをチェックするのも親の重要な役割でしょう。

 

Q:スポーツでのケガや障害において正しい病院や医師の選択のポイントなどがあれば教えてください。

A:これは難しいですね。実際のところはその病院に行ってみないとわからない、と思いますが、すぐに手術を勧めてくるような場合は注意したほうがいいかもしれませんね。

 

Q:親も納得がいかなければセカンドオピニオンを求めて他の病院に行ってみる、というも必要でしょうか?

A:そうですね。特に、子供たちのケガ、ということに関しては成長期のジュニア選手たちを多く見ている医師というのはそれだけ経験も多いわけですから信頼できると思います。

 

Q:ケガをしにくい体づくりのために親ができることはありますか?

A:基本的なことですね。睡眠、栄養です。

 

Q:親ができるスポーツ障害の早期発見方法などはありますか?

A:かばった動きをしていないかどうか?ということですね。普段と違う行動をしていないかどうか、というのは1つの目安になります。

 

Q:しばらく様子を見ましょう、というそのしばらく、というはどれくらいでしょう?

A:ケガなのか、疲労なのかということだと思います。疲労、であれば2,3日あれば回復していくものですが、ケガと疲労は延長戦上にありますから休養をとっていても回復がないのであれば、それはケガ、として受診したほうがいいですね。

 

最後にスポーツペアレンツの皆さまへメッセージをお願いします。

一番子供のことを守ってあげられるのは親ですよ、ということです。

これが全てを含んでいると思います。

 

 

 

 

 

鳥居先生、たくさんのお話し、ありがとうございました!

 

(1)>(2) 

 

 

谷 諭 医師インタビュー

谷医師インタビュー(脳震とうについて)②

2014年05月18日 17:11
  Q:スポーツ活動中に頭を打ったり、大きく揺さぶられたりして、でも症状も軽く、とりあえず様子を見ようかな?という時、何分くらい様子をみればよい、というような指針はありますか? A:何分、ということではなく、脳震とうかな?と思ったらその日はやめた方が良いです。   Q:では脳震盪の症状のチェックをし、バランステストもし、何も問題がなければプレーに復帰可、ということでしょうか? A:それで良いと思います。脳震とうの症状もなく、バランスも問題なければ脳震とうではないんだね、という事でプレーに参加させて良いでしょう。   Q:頭部を外傷し、子供が頭痛を訴えてきた場合、市

谷医師インタビュー(脳震とうについて)①

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  Q:一般の人が「脳震とう」について参考にすべきもの、もしくは情報を教えてください。 A:我々、臨床スポーツ医学会の脳神経外科部会が出しているこちらを参考にしていただければと思います。 「スポーツ現場における脳震とうの評価」 これは一般の人も自由にダウンロードできます。   Q:「脳震とう」は何が怖いですか? A:頭に強い衝撃を受け、外傷を受けると頭の中で出血していることもある、ということ、ですね。これは「急性硬膜下血腫」というのですが、これは致死率が約40%くらいあるんです。これが怖いですね。 ですから、それが起きているか起きていないか、をすぐに知らなければいけないわ