専門家インタビュー
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 大伴茉奈氏
【大伴さんの活動について】
Q:ご経歴を簡単に教えてください。
A:早稲田大学スポーツ科学科を卒業し、その後同大学大学院スポーツ科学研究科へ。現在は、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程に在籍しています。
Q:大伴さんは何かスポーツをされていましたか?
A:ずっとバスケットをしていました。
Q:脳震とうの研究をしようと決断されたきっかけ、のようなものがあれば教えてください。
A:大学2年生の頃、ゼミの中村千秋先生よりNFLで問題になっている脳震とうの話を聞き、衝撃を受けたのが最初のきっかけです。
Q:どんなお話だったのでしょう?
A:生死に関わる脳震とうを起こす可能性があるにもかかわらず、プレーを継続する選手が後を絶たない、といったような内容でした。
自分自身もバスケットをしていてちょうどその頃ケガをし、プレーができない状態でした。ケガは治りますが、死ぬかもしれない脳震とうの可能性がありながらもプレーを続ける選手の気持ち、のようなものにも興味を持ちました。
Q:資料などはすぐに見つかりましたか?
A:色々国内の文献や論文を調べたのですが、ほとんどありませんでした。そこで、英語で「Concussion」(脳震とう)と打ちこんでみると、国際会議の資料が出てきたんです。これには驚きました。
日本ではほとんど認識がないにもかかわらず、国際的にはすでに多く取り上げられ、大きな問題になっているのだ、と。そしてどんどん調べてみると、映像などもあり、ショックでした。
自分自身、スポーツ科学部という学部に身を置いているにも関わらず、脳震とうの情報を入手することが難しい現実を目の当たりにし、この危険性をもっと広めていかなくてはスポーツにおける悲しい事故は後を絶たないのではないか?と思いました。
Q:具体的に、大伴さんの研究内容について教えてください。
A:主に脳震とうに関する啓発活動です。ジュニア期の選手における予防プログラムの立案なども現在取り組んでいます。
まずは脳震とうについて知ってもらうこと、そして予防できるポイントなどもお話しします。
Q:例えば?
A:例えば、ラグビーで言うとタックルを受けるよりもタックルする方が脳震とうの確率は高いのです。その原因の約半分くらいは技術不足が原因です。頭を下げてしまったり、相手を良く見ていなかったり。
あとの半分はアクシデント的なものが原因です。これは、骨折などと同様、なかなか防ぎきれないものです。
ですが、半分が技術的なもの(体力や筋力不足なども含め)が原因なのであれば、そこを改善すれば脳震とうの発生を半分にすることができます。
Q:早稲田大学の所沢や東伏見にある、スポーツ医科学クリニック業務、について教えてください。どのようなことをされるのでしょうか?
A:主に早稲田大学の体育会やサークルに所属している選手に対し、アスレティックリハビリテーションを行っています。